心理学系大学院へ行こう

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研究計画書の書き方(2015年 改定版)

研究計画書の書き方、いうと、予備校みたいなところでよく教えている感じですよね。そりゃしっかり書けるに越したことないけれど、教員はどのようなことを求めているのでしょうか?

まずは,学部生が修士に上がるために必要とする「計画」であるという点に注意しましょう。まず,「やりたいこと=目的」を書くべきです。でも,それだけではダメです。「何故やらないといけないか」,これも必要ですね。つまり,やってどんないいことがあるのか?ということが伝わらないといけません。社会応用できるとか,学術的に新しいとか,です。それらを伝えるためには,現状そのトピックに関する研究はどのようになっているのかをしっかり調べて書かないといけませんね。これは「先行研究背景」といったものに当たります。

さて,では次のポイントは「その計画は実現可能なのか?」という点です。夢物語は誰も求めていません。もちろん少しのチャレンジは必要ですが,どのようにその計画を実現するのか,そのステップ・方法を書きましょう。刺激の作成,環境の作成,データ処理など…修士論文の計画書であれば,自身でできない箇所は,指導を仰いで修正することを前提として,素案を書きましょう。何でも一人でできると思ってはいけません。

方法が書けたら,予測される結果やその結果がもたらす波及的効果,つまりその後はどのような研究が続くと考えられるのかに言及しましょう。一つの研究では小さいことしか分かりません。大きな目的に向かって,小さなステップを積み重ねていくイメージで計画書の中に示しましょう。

さて,上に示したのは実は,一般的な計画書全てに共通する書き方です。科研費や学振の申請書に関しても,大枠は上の様な事を書くことが求められていますし,何よりも書式にそのような項目が既に存在します。

修士や博士の研究計画書に限って言えば,計画書の扱いは内部進学と外部から応募者では大きく違うでしょう。なぜなら,内部の人間が進学する場合には,その教員の監督下で育っているので,何やりたいか・何が出来るかなどの合意が取れているためです。(だけど,計画書はちゃんと書きましょう)

一方,外部からの応募の場合,そういった合意がありません。なので,研究計画書によって,その学生のやりたいことを確認し,研究計画書の善し悪しとは別に,「学生の求めている内容を担当教員が指導できるかどうか」を判断することも合否の基準に加えられるということです。

要は,研究の方向性がその研究室とずれていなければよいのですが,受験生を見ていると,その辺の勘違いが非常に多いようです。その研究室ではどのような研究が行われているのか,教員の専門はどこまでカバーしているかなどはしっかり調べましょう。

また,受験当日に初めて会うようなことは絶対にやめましょう。もちろん,予めの面談・コンタクトを禁じている大学もあるかとは思いますが,それ以外の場合では,必ず連絡し,研究計画書を見てもらい,できれば実際に会うことをしましょう。

※2010年に執筆したものを全面的に改訂しました。