心理学系大学院へ行こう

“心理学系大学院へ行こう”では、主に大学院入試対策向けの参考書や受験のための知識を紹介しています。卒論対策にも一読ください。 さらに, 研究者になるにあたって役立ちそうな記事も掲載しています。psychology_ganbaru

The MAN Who MISTOOK HIS WIFE for a HAT



The Man Who Mistook His Wife for a Hat: And Other Clinical Tales (ペーパーバック)
Oliver W. Sacks

オリヴァーサックスはアメリカの神経学者です。(イギリス人)
以下ウィキペディアより引用。
「自身の扱った患者について記した一般啓蒙書を多く記している。彼自身は、これら著作について、19世紀の医学秘話(文芸的筆致の非公式な傷病録)的な性質のものであると考えている。」らしいです。
つまり簡単に言うと、「神経学的症状を呈した患者さん達との心温まったり温まらなかったりするお話」。
この「The Man Who Mistook His Wife for a Hat」には、たしか20ほどのお話が入っているのですが、タイトルになっている話は、相貌失認という症状を呈した患者さんについてのお話です。
相貌失認とは、脳のある部位の損傷により、他の視知覚には問題ないにも関らず、顔だけを認識することができなくなる症状を言います。
このような症状は、普通の人には馴染みは薄く、ともあらば滑稽に映るでしょうが、実際にそれほど多くもない人が苦しんでいる(?)かもしれない症状です。
この他にもまさに「様々な」症状を呈した患者さんについて収録されています。
記憶障害や自閉症サヴァン症候群などは有名どころでしょう。

で、はっきり言って名著です。
心理学を志している、もしくは興味がある人には是非読んでいただきたい。
特に臨床心理学、神経心理学を専攻している人は必読です。
英語は、専門用語がかなり多く難しいですが、受験対策に読んでみるのも良いでしょう。かなり読めるようになるのではないでしょうか。
ちなみに邦訳(妻を帽子と間違えた男)も出ているので、そちらであればさらっと読むことが出来るでしょう。

著者のほかの作品には、「火星の人類学者:An Anthropologist on Mars」という作品、また有名な(映画化された)ものに「レナードの朝」があります。