心理学系大学院へ行こう

“心理学系大学院へ行こう”では、主に大学院入試対策向けの参考書や受験のための知識を紹介しています。卒論対策にも一読ください。 さらに, 研究者になるにあたって役立ちそうな記事も掲載しています。psychology_ganbaru

勉強の仕方(心理学統計)

統計学というのは,心理学を志す人間の大部分に取って障害となってしまうものだと思います。ただし,この知識が不十分だと,心理学の心理学たるゆえんも損なわれてしまいますので,統計は”とりあえず使える”ようになりましょう。

研究分野によってはt検定や分散分析だけ使えれば十分です。なので,統計学の勉強にかける比重はその人の興味の方向次第でしょう。ただし,使うからには大枠は理解していなければなりません。

受験対策となると,分散分析だけ知っておけばいいというわけにはいきませんが,まずはt検定・分散分析をしっかり理解することが重要です。なぜなら,そこには「統計的仮説検定」というワカリニクイ概念があるからです。統計的仮説検定における,いくつかの重要な仮定を理解することができれば,あとはテクニック的,あるいは覚えるだけ感があります。最初から難しいことに取り組むよりも,基礎を大事にしていきましょう。

【LEVEL 1】
平均値ってなに?尺度って聞いたこともないって人は「よくわかる心理統計」から始めましょう。平均値は習ったし,一通り授業も受けたんだけど,まだ統計がニガテだな,と思う人は,「心理学統計入門」がおすすめです。「とりあえずわかる」から,「理解する」までをカバーしています。

「よくわかる」のカバー範囲は,t検定,回帰,相関,分散分析,カイ二乗検定です。ひとつひとつの解説は少ないので,実用的ではありませんが,苦手意識は克服できるかもしれません。「心理学統計入門」のカバー範囲は,t検定,分散分析,相関分析です(カイ二乗検定の解説も少しありますが,難しめ)。

両者とも,扱う範囲は少ないですが,数学的な説明よりも,文章と図による説明が中心です。

【LEVEL 2】

文章・図・概念で数式をわかりやすく説明しようとすると,どうしても不正確な部分が出てきてしまいます。数式ベースで”正確に理解したい”場合にお勧めなのが,「行動科学における統計解析法」です。数式だけでなく,具体的な数値例が示されていますので,ゆっくりがんばって,計算機片手に読めば,数学的な背景が理解できると思います(リンクはamazon)。

ただし,「心理学統計入門」のステップ2・3の数式でおなかいっぱい!というヒトはスキップしてもOKです。

【LEVEL 3】
あとは「心理測定法への招待」や「試験にでる心理学(統計編)」などを読んで足りない部分を埋めていきましょう。
前者は統計だけでなく測定法についての本ですが,”統計処理”にとどまらない,心理学の文脈における統計の使い方を確認できます。「試験にでる」は,問題がついているため,とにかく実践的に進めていきたい方にお勧めです。最初の方にざっくりと基礎をまとめてくれていますので,その部分を復習的に読み直し,問題を解きましょう。後のほうの内容になると,少し専門的な内容(分野によっては不要な内容)がメインとなります。ここは用途によって,無視しても良いでしょう。

【LEVEL X】
心理統計学の基礎」は数学的に統計が理解できる方向け。ド文系の人には難しいため,「何度も読んでいれば,丁寧に読んでいれば,いつか理解できるようになる!」なんてことはありません。はっきり言ってお金と時間の無駄です。数学的な基礎がないのに,数式による説明(ていうか数式自体は説明ではない)を理解することはできないのです。立ち読みして分からない場合には,買わないことを強くお勧めします。

2016/06/24 内容修正
2017/06/04 内容修正
2018/01/21 内容修正