心理学系大学院へ行こう

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科学としての心理学

このテーマだけで何冊も本が書けるくらい大きなテーマでしょうが、ここでは簡単に。

心理学はその起源は古いとされるものの、
学問として独立したのはそれほど昔のことではありません。
また、「科学」と認められるために頑張ってきた学問でもあります。
心理学をやっている人はたいてい誰でも経験したことのある質問、
「人の心読めるんでしょ?」。読めたらそれは心理学ではありません。
アブナイ宗教か超能力、詐欺の類でしょう。お金持ち確実です。
物理学をやっている人が「空中浮遊できるんでしょ?」って言われるくらいナンセンス。
今でさえこんな感じなので、昔は推して知るべし、なんでしょう。
悲しきエセ科学

心理学はその由来として「心理+学」ではなく、「心+理学」です。
心の理学。理学というのは科学ですよ。ええ。心を科学する。
「心理」という言葉が誤解のもとなのでしょうね。
しかも心が何だか分からないものだから、心を反映するであろう行動を研究の対象とし、
行動の科学とさえ銘打ってます。
それって心理学なの?って思ってしまいますが、これも科学であるための努力なのです。きっと。

心理学の祖と言われるヴントさん。
彼が数学的・定量的な手法を用いた実験心理学を確立したそうです。
彼自身、「内観」という客観的でないモノサシを用いていますが。
それはさておき。それ以前は心理学は哲学の延長上にありました。

哲学は、科学ではありえません。なぜなら、反証できないから。
つまり、客観的に間違いだ。と言い切ることができないのです。
このように、反証できないものは科学ではない、という考えを反証主義といいます。
反証主義を代表する哲学者はカール・ポパーさん。
科学を哲学が定義しているのは面白いことですね。
ちなみに、反証主義は科学を定義する一例であり、絶対的なものではありません。

心理学が科学となるためには、反証できる(反証可能性を持つ)仮説を用い、
その仮説を具体的な実験手続きを通して検証することが必要になります。
仮説を検証するための実験が客観的であることを保障するために、
数学的・定量的な手法が用いられるようになりました。
つまり、その実験は誰が何回やっても一緒だよ、ということです。

そして、その実験と同じく大切なのが、仮説の中身です。
たとえば、フロイトさんの心理学は現在の実験技術では反証可能性がありません。
つまり、イドやらエスやらが在るとか無いとか判断する実験をすることができないのです。
逆に、同じ意味カテゴリーに含まれる単語を沢山記憶するのはつらい、みたいな仮説は
異なる意味カテゴリーに含まれる単語との比較実験でその是非を問うことが出来ます。
このような反証可能性がある仮説が反証されなかった場合、「とりあえず良し」とするのが、反証主義の科学です。
「とりあえず良し」というのは、反証される可能性はまだ残っているということです。
なので、何度も実験され、その度に反証されずに確証され続けた仮説が、
「良い仮説」、より本当っぽい仮説になり世の中に認められていきます。
勿論それは全く同じ実験によってではなく、一つ一つ角度を変えた実験です。

現在では一応、このようば科学的方法を用いることがスタンダードとなっています。
なんらかの仮説を用意して、実験して、ついでに統計的な処理を用いて検証する。
しかし、日本ではまだ心理学部は文系です。なんでだろう。科学じゃないんでしょうね。
心理学が科学であるべきかどうかは色々意見もあるでしょうし置いておくとして、
理系になればもう少し研究費も付くんじゃないかと思うんですがどうでしょう。

最後に。
ものすごく簡略化した説明であり、かなり独断と偏見に基づいているため、一つや二つクリティカルな間違いもあるかもしれません。そんな時は是非優しく指摘してください。書き直します。