心理学系大学院へ行こう

“心理学系大学院へ行こう”では、主に大学院入試対策向けの参考書や受験のための知識を紹介しています。卒論対策にも一読ください。 さらに, 研究者になるにあたって役立ちそうな記事も掲載しています。psychology_ganbaru

そもそも大学院とは

”大学院に行きたい”と漠然と思っている方向けに,大学院ってどんなところなの?という疑問に答えておきましょう。

大学院とは“研究をする場所”です。研究とは,勉強ではありません。今まで蓄積されてきた知見をもとに,“新しい”考えを主張することが研究です。もちろん新しいだけではだめで,それなりの妥当性が必要です。勉強は過去に誰かが研究したことを,教科書や文献,あるいは先生たちから教えてもらうだけ。研究は,これから未来の人たちが勉強するような知識を作る仕事です。なので、大学院では,もちろん勉強も必要ですが,自身で新しい知を模索していかなければいけません。

学部では,卒論というものを4年間の記念に書きます。まだ書いていない人は,きっと大変だと思います。特に心理学は,文系のほかの分野とはスタイルが大きくかけ離れていますので,いろんなことに躓くでしょう。そして,大学院の生活としては、まさに卒論を書いている最中の生活がずっと続く状態です。

学部時代にゼミというものは,大学によってはない場合もあるかもしれません。しかし大学院では,ゼミに所属します。すなわち,ひとりの担当教授にくっついて,研究(あるいは雑務)をあれこれと行います。通常の授業(講義)もありますが,学部ほど多くはありませんし,そこまで重要視されません。大事なのは,自分自身の研究です。一般的には,ゼミでの研究が,修士論文(あるいは投稿論文)という形になっていきます。

ゼミで学ぶ内容は,研究室次第です。ひたすら英語論文の和訳・輪読を続けているゼミもあれば,毎週自分の研究について発表があるゼミもあります。研究についても,研究室で割り与えられる(つまり,オリジナルではない)ものもあれば,ほとんど自分で一からガンバる,という場合もあるでしょう。

研究に関しては,前者の方が圧倒的に楽です。自分で一から始めることは,かなりしんどいです。しかし,それが研究の醍醐味でもあるでしょう。臨床心理士(※現在は公認心理師)を目指すために大学院を経由する場合は,そもそもの興味があまり研究にないでしょうから,研究室における研究は,他の分野に比べて重要ではないでしょう(質が低いといっているのではなく,優先順位の問題です)。

修士のみで一般企業に就職するのならば,修士論文の中身自体は何の役にも立ちません。しかし,その後の進学に関係なく,幅広く深い知識,論理的に文章を構成する能力,そして心理学における方法論(科学的手法)を学ぶことは,学部時代には達成できない,大学院特有の非常に意味のあるスキルとなります。逆に言えば,(環境あるいはやる気の問題で)それらを学べないならば,大学院に進学する意味はありません。

大学院における生活については,担当の先生および自分しだい,です。通常の講義に関しては,(日本の場合は)コマ数も課題も多くないため,あまり問題は生じないと思います。また,アルバイトをする時間や遊ぶ時間がまったくない,ということもありません(先生が制限する場合はありますが)。

【2016/6/24 体裁を修正。内容はあんまり修正してません】